80台のドローンが横浜スタジアムに翔んだ 《世界初に挑んだドローンショー》

2018年05月10日



横浜DeNAベイスターズ開幕戦、花火と競演するドローン


2018年3月30日、80台のドローンが横浜DeNAベイスターズ開幕戦のオープニングセレモニーを飾った。最初に花火が打ち上げられ、その煙の中から、ドローンがバックスクリーンを超えて登場した。ドローンの演出を知らなかった観客から大きな歓声とどよめきの声があがった。突然、UFOが飛来したような80台のドローンの出現は大きな驚きをもって迎えられた。
その後、ドローンは隊列を組んで龍のようにうねりながら、球場の真ん中でベイスターズの「B」のマークを形作ったり、シンボルマークの星になって回転したりと変幻自在に形を変え、花火・照明・音楽それにプロジェクションマッピングとシンクロしながら、ダイナミックな3Dのスペクタクルな光のショーを展開、選手の並ぶ球場に着陸した。


ベイスターズのシンボルマークの星を形作るドローン


ドローンチーム SKY MAGIC


このドローンショーを実現させたのが、日本人、シンガポール人、マレーシア人、それに中国人のスタッフから構成されたSKY MAGICというチームだ。彼らはアジアの中心、シンガポールに本拠地を置いて世界中でドローンショーを演出している。SKY MAGICのチーフマーケティングオフィサーのHitomi Uematsuさんに話を聞いた。
「広告代理店の新規プロジェクトとしてスタートした。コンピューターやスマホなどのデバイスに頼らない新たなプラットフォームにならないかとドローンに目をつけた」と言う。2015年、まだドローンが注目を集めはじめたばかりの頃だ。海外では実験的にドローンの編隊飛行が行われていて、この台数を増やせばドット絵を描けるのではないかと考えた。彼らはドローンの編隊飛行のできるチームを探し求めて、中国深センからシンガポールに行きついた。そのシンガポールのチームと2016年4月、富士山で25台のドローンを飛ばした。それは日本の伝統の三味線と富士山が、ドローンという最先端テクノロジーとコラボレーションした瞬間だった。


SKY MAGIC Live at Mt.Fuji


その後、台数を増やし、2016年12月にはドバイで39台のドローンを飛ばすイベントを実現させる。これが中東の王族たちの注目を集めた。噂は一気に広がり中東からドローンショーの依頼が殺到した。昨年のアブダビでのナショナルディのセレモニーで120台、カタールのナショナルディにはドーハで300台のドローンを飛ばしたショーを実現させ、今年1月には「UAEの父」生誕100周年の除幕式にて、500台のドローンをドバイで飛ばした。


SKY MAGIC in Qatar


平昌オリンピックで、1000台余のドローンを飛ばしたインテルのチームが話題になったが、SKY MAGICも編隊飛行のテクノロジーでインテルに並ぶ技術をもったチームだ。そのSKY MAGICが、富士山のイベント以来2年ぶりに日本に帰ってきた。


300台のドローンがカタールの空を飾る


バックスクリーンから飛来するという演出


スタジアムの外に並んだ80台のドローンがテイクオフしてバックスクリーンを越えてスタジアムの中に飛来した。この演出には観衆も度肝を抜かされたが、これにはある事情があった。
本来はスタジアムの中でテイクオフしたいところだったが、セレモニーの直前までグラウンドで選手がウォーミングアップしていて、スタジアムの中にドローンを並べることができなかった。そこで、スタジアムの外からドローンを発進させ、バックスクリーンを越えてスタジアムの中に飛来するという演出が取られた。こうして実現したのが今回の横浜DeNAベイスターズの開幕戦セレモニーだった。突如バックスクリーンから登場したドローンに客席から大きなどよめきと歓声が湧いた。


バックスクリーンを越えてスタジアムに飛来するドローン


日本のドローンショーの大きな一歩


今回、80台とSKY MAGICが通常やっているショーよりは規模の小さいものではあったが、都心の真ん中のスタジアムでしかも生ライブでのドローンショーは「世界初」の試みだ。あのインテルでさえ平昌オリンピックでスタジアムでのライブのショーは実現できなかった。その意味で、今回のドローンショーは「日本のドローンの未来」にとって東京オリンピックにも繋がる夢のひろがる大きな一歩となった。
SKY MAGICは今年中に1000台を超えるドローンを飛ばす計画を立てている。





<作品クレジット>
【この記事は、Yahoo!ニュース個人の動画企画支援記事です。オーサーが発案した企画について、取材費などを負担しているものです。この活動は個人の発信者をサポート・応援する目的で行っています。】

TVCM制作会社ティ・ワイ・オーを経てフリーディレクターとして活躍。数百本のTVCMを企画演出。様々な広告賞を受賞。CM以外にもテレビ番組や映画、PV、Web Movieなどを監督。高い評価を得ている。テレビ番組では、フジテレビ「世にも奇妙な物語」などからNHKのドキュメンタリー番組まで幅広く演出。NHK Forbidden KYOTO(禁断の京都)で、シカゴ映画祭 テレビ部門銀賞。ドキュメンタリー映画「OYAKO」International Film Awards Berlin Best Documentary賞など受賞をしている。

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