【映像】屋台でも現金いらず 中国キャッシュレス生活最前線

2018年05月31日



モバイル決済システムを説明する筆者


【高級デパートから屋台まで。中国モバイル決済最前線】


中国では今、何千年も庶民を苦しめてきたスリがいなくなろうとしている。
なぜなら、中国では今、多くの人が「財布を持っていない」からだ。

2013年に中国・南京市に移住した私は、物凄いスピードで変わるこの国を間近で見てきた。まさか、財布が要らなくなる日が来るとは、5年前には思ってもいなかった。なぜ財布が要らないのかと言うと、「モバイル決済」が中国社会の隅々まで普及したからだ。今や、超高級デパートから路上の小さな屋台まで、全業種がモバイル決済対応をしている。

私がモバイル決済を使い始めたのは1年前、周りではかなり遅い方だと思う。日本人の私としては現金志向が強かったが、使い始めたらあまりの便利さに、現金生活に戻れなくなってしまった。

この国でモバイル決済を普及させたのは、現在、中国で一番有名な起業家・ジャック・マー率いる中国アリババグループ。
2004年に始まったアリペイは、当初は発想が新し過ぎて銀行に相手にされなかったが、2010年に中国銀行との提携が決まった頃から、急速に成長スピードを増し、ここ2、3年で爆発的に全国に普及した。アリペイは、2018年1月時点で5億2000万人以上のユーザーを抱える。

モバイル決済が普及した理由は様々あるが、大きな理由の一つに中国特有の「ニセ札」事情がある。中国の店で一番大きい金額のお札・100元札(約1600円)を使うと、必ず店員がそのお札を裏表細かく見て本物かニセ札かをチェックする。モバイル決済は、ニセ札が横行する中国社会にとって、正に救いの神だった。

そしてモバイル決済が中国全土に広がった最大の理由、それは「超簡単で便利」だからだ。店はQRコードを印刷して壁に貼り、客はそれを携帯でスキャニングする。そうすると支払い画面が出てきて、客は金額を入れてOKを押せば終わり。店からすると、モバイル決済導入のコストは、ほぼゼロ。客からすると、支払い時に小銭を探す必要もなく、財布を持ち歩かなくて良い。

中国の決済事情を現場ルポした動画を、ご覧いただきたい。

最近、私が日本に帰った時に特に不便だなと思うのが、銀行やコンビニに行ってお金を下ろさなければならない事だ。
一方、中国で私が銀行に行くことは滅多にない。中国社会のキャッシュレス化は今、とどまるところを知らず、顔認証で買い物ができる、文字通り「顔パス」ができる店まで登場した。

私は今、中国の大手動画サイトと組んで、「現代の日本文化」を中国に紹介するドキュメンタリー番組を制作・配信しており、有難いことに総視聴回数は3億回を超えた。私は中国で今、最も流行している「オウンドメディア」事業を通じて、中国の若者の思い、先端の流行、現実を肌で感じてきた。これからは、「生の中国」のことを随時日本に紹介していきたい。




<作品クレジット>
【この記事は、Yahoo!ニュース個人の動画企画支援記事です。オーサーが発案した企画について、編集部が一定の基準に基づく審査の上、取材費などを負担しているものです。この活動は個人の発信者をサポート・応援する目的で行っています】

2005年にディレクターデビュー。以来、NHK「長江 天と地の大紀行」「世界遺産」、テレビ東京「未来世紀ジパング」などで、中国関連のドキュメンタリーを作り続ける。2013年、中国人の妻と共に中国·南京市に移住し、番組制作会社ワノユメを設立。2015年、中国最大手の動画サイトで、日本文化を紹介するドキュメンタリー紀行番組「我住在这里的理由」の放送を開始し、2年半で再生回数が3億回を突破。中国最大のSNS・微博(ウェイボー)で「2017年・影響力のある十大旅行番組」に選ばれる。番組を通して日本人と中国人の「庶民の生活」を描き、「面白いリアルな日本・中国」を日中の若い人に伝えていきたいと考えている。

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