東南アジア美食探訪ーシンガポール編 【リトル・インディア】

2018年07月02日

多民族国家シンガポールを体感出来る、シンガポールの「リトル・インディア」。
イギリスの植民地時代に労働力として移住したインド人が根付いた、異国情緒溢れるコミュニティだ。


シンガポールの「リトル・インディア」はは古くから移住したインド系移民の息遣いが感じられる




街角ではインド系美女の色鮮やかな壁画が目を引く


彼らの胃袋を満たすテッカセンターを覗くと、まさにそこは熱気に満ちた異空間。
屋台を切り盛りする男たちが粉から勢いよく練って作るナンは、見事なスピードで楕円状に成形され、石焼きの釜に素早く投入される。
高温の壁に張り付けられ、こんがりと焼き色がつき香ばしい匂いが辺りに立ち込めてきたら完成だ。


インド系移民の家族連れが素手を使って器用にビリヤニを食べていた


野菜や肉とともに大量に炊き込まれた、スパイスの香り豊かなビリヤニは、パラパラとした食感の米粒に濃厚なグレービーが良く絡み絶品。
茹で卵などがトッピングされて見た目にも鮮やかで食欲をそそる。
手先を器用に使いビリヤニを頰張るインド系移民や出稼ぎの労働者たち。
この光景だけを切り取ると、ここはまるでインドそのものだ。


マトンやチキンと共に香り豊かなグレービーで炊き込まれたビリヤニは絶品




ビリヤニの付け合わせにはマンゴーなどを漬けたアチャールと呼ばれるピクルスを


なかでも派手な調理法で目を引くのが、インド発祥の名物料理"ムルタバ"。
良く手ごねした油分たっぷりの生地を、素早く薄く伸ばしてゆく。
宙を舞わせあっという間に広げる技は、長年屋台で培ってきた圧巻の職人芸だ。
卵を勢いよく生地に塗り伸ばし、細かく刻んだ玉ねぎやニンニクを散らす。さらにイワシのトマト缶を開け、豪快に手で身をほぐして投入しトッピング。
具材とともに器用に折り畳んで鉄板へ。両面をこんがりと揚げ焼き状態にする。


黙々とムルタバを焼き続けるインド系の店主 生地を大きく宙に舞わせる技は見事だ


ぐつぐつと美味しそうに膨らむ生地ー
貿易商を通じて東南アジアに広まった一品。「折り畳まれた」という意味が名前の由来だ。


刻んだ野菜や肉、魚などを包んだムルタバはボリュームたっぷりの一品


食べやすいように切り目を入れたら完成。
付け合わせにはスパイスの効いたカレーが用意される。
パイ生地のようにサクッと仕上がった生地にたっぷり挟まった具材の旨みが沁み出す、異国情緒溢れる逸品。
今日もシンガポールの片隅で威勢よく焼かれている。

Little India
「テッカ・センター」




<作品クレジット>
撮影・構成・編集 海野麻実
Producer/Director/photographer/Editor/ AsamiUnno

東京都出身、慶応義塾大学卒。NY語学留学の際、911テロ事件に遭遇。その後、欧米におけるイスラム社会のフィールドワークを開始。ロサンゼルスのローカルテレビ局でインターン、911テロ後のイスラムや現地の日系人社会等をテーマとするシリーズの企画立案から取材、編集を手掛ける。民放テレビ局で報道局記者、番組ディレクターを経て、現在東南アジアを拠点に世界各地で取材活動を続ける。主に、国際情勢を中心に移民政策やインバウンド、スタートアップ関係の分野で東洋経済オンライン、ForbesJapanなどで執筆。NHK Wolrdではインタビュー企画等の取材制作に携わる。第22回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『1F作業員~福島第一原発を追った900日~』を制作。シンガポールを経て現在はマレーシア在住。SONYデジカムで海外ロケの企画発案・取材・撮影・編集までの完パケ納品を行う。取材などで訪れた国は40カ国以上。 Email : asamiunno@ugm.from.tv

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